東京オリンピック

 東京オリンピックは第11日の2日、バレーボール女子の1次リーグ最終戦が行われ、日本はドミニカ共和国に1-3で敗れた。1勝4敗で決勝トーナメント進出はならなかった。出場した五輪で決勝トーナメント進出を逃したのは、1996年アトランタ五輪に続いて2度目。
 第4セット19-24、ドミニカ共和国のマッチポイント。既に敗戦濃厚の雰囲気が漂う中で、センターから強烈なスパイクをたたきつけられると、日本の選手たちはぼうぜんとした表情を浮かべた。勝った方だけが決勝トーナメントに進出できる一騎打ちだったが、あまりの完敗に悔しがることさえできなかった。
 スパイクの迫力が違った。速さを追求する日本はトスがサイドに偏る上、打ち切れない場面が目立つ。第4セットで黒後愛東レ)が不完全な体勢から打つしかなく、相手ブロックから逃げてアウトを繰り返したことは象徴的だ。一方、相手はミドルブロッカーへのトスもゆったりした軌道でアタッカーが最高打点で振り抜くことができるため、次々と豪快なスパイクを決めていった。
 よく、バレー関係者は「日本は高さやパワーで劣る」と口癖のように言うが、原因は攻撃スタイルにある。世界的にはサーブレシーブを高く上げることで時間を作り、常に4人のアタッカーが十分な状態で攻撃に入る形がトレンドだ。前日に1992年バルセロナ五輪以来の決勝トーナメント進出を決めた男子はこのスタイルを取り入れ、攻撃の幅が広がった。だが女子は、独自路線で低く速いサーブレシーブからのトスにこだわった結果、余裕のないアタッカーが攻め急ぎ、手打ちになる場面が目立った。
 64年の「東洋の魔女」の金メダルを皮切りに、過去に金メダル2個、銀メダル2個、銅メダル2個と日本の団体球技でトップの実績を誇るバレー女子。しかし、57年ぶりに東京へ戻ってきた五輪で1次リーグ敗退した。2017年の本格始動以来、「伝説に残るチームを作る」とメダル獲得を掲げてきた中田久美監督は「頑張ってきたが結果は残せなかった」と淡々と話した。根本からバレーのスタイルを見直す必要がある。

・今大会が「オリンピックで日本の女子バレーを見る事ができた最後の大会」になってしまいそうで怖い。