遠足は家に帰り着くまでが遠足です、って言われませんでした?

防衛庁に入った連絡によると、イラク南部で26日午後12時45分(日本時間同日午後5時45分)ごろ、サマワの宿営地から撤収作業を続けている陸上自衛隊派遣部隊の隊員が運転する軽装甲機動車1両が走行中に横転、乗車中の隊員3人が骨折するなど重軽傷を負った。命には別条ないという。約2年半に渡るイラク派遣中、隊員が活動中に負傷したのは初めて。
 統合幕僚監部によると、軽装甲機動車クウェートへの空輸拠点となるタリル空港からサマワの宿営地に車列を組んで移動中だった。横転は爆弾などによるものではなく、事故の可能性が高いという。

・で、今日の産経抄

徒然草』の第109段に「高名の木登り」の話が出てくる。木に登る名人として知られた男がある日、別の男に高い木の梢(こずえ)を切らせる。上の方で危なく見えた時には何も注意せず、軒の高さばかりまで降りてきたところで「気をつけろ」と声をかける。
 ▼傍らの人が「あの高さなら飛び降りることもできるのに」といぶかしがるとこう反論する。「あやまちは安き所に成りて必ず仕(つかまつ)る事に候」。木登りにとって当たり前の経験則かもしれない。だが兼好法師は「聖人の戒めにかなへり」といたく感じ入っている。
 ▼最近この話を思い出す機会が多かった気がする。「もう大丈夫」と、みんなが思いかけたところで逆転された対オーストラリア戦のサッカーがそうだった。退陣まで秒読みに入った小泉首相は、軒の高さばかりの所から無事着地ができるのか。ちょっと気になる。
 ▼だが、今最も「戒め」を心にとめなければならないのは、イラクからの撤収が始まった陸上自衛隊だろう。2年半に及んだサマワでの活動は、派遣反対派の「期待」に反して現地で大きな成果をあげた。これまでのところ大きな事故にも遭わず、事件も起こしていない。
 ▼それを可能にしたのは日本の自衛隊の規律の良さや習熟度の高さだった。そのことを世界に示すことができたのが最大の収穫かもしれない。しかし軍事において撤収や退却が最も難しいというのは常識だ。最後に今一度、気をひきしめ安全を期してほしいものだ。

・明後日の産経抄に、言わんこっちゃ無いって書かれそうだな。