春高決勝の結果

就実 3 25-17 25-17 25-21 0 下北沢成徳

 ジャパネット杯「春の高校バレー」第76回全日本バレーボール高等学校選手権大会最終日(8日、東京体育館)1面の特設コートで5セットマッチの男女決勝を行い、女子は就実(岡山)が3冠を狙った下北沢成徳(東京)に3-0で勝ち、2大会ぶり5度目の優勝を果たした。1万387人が観戦した。
 思いの強さが違った。就実(岡山)は〝2年越し〟でたどり着いた大舞台で、高校3冠を狙った下北沢成徳(東京)に完勝した。
 「1年間、苦しい思いをしてきた。最高の舞台で最高の結果を出せて、すごくうれしい」
 全国の強豪を相手に今大会全6試合でストレート勝ちの〝完全V〟。決勝で14得点を挙げたエース、福村心優美(こゆみ、2年)は大会最優秀選手に選出された。
 相手の高いブロックを巧みにかわす攻撃で2セットを連取。第3セットは11-7から6連続得点されて逆転を許したが、続く競り合いの中、後衛の福村がサーブレシーブを上げ、そのままバックアタックを決めて、流れを取り戻した。「厳しい場面で決めきるのが自分の仕事。全部持ってこいとセッターにいっていました」と胸を張った。
 3連覇が懸かった昨年は大会前日の新型コロナウイルス抗原検査で2人が陽性となり、規定により欠場に。その1人だった福村は「何も考えられなかった。当時の3年生に申し訳なくて、逃げたかった」。だが、先輩たちが「次に結果を出してくれれば報われるから」と背中を押してくれた。
 昨年8月の高校総体準々決勝では、優勝した下北沢成徳の高いブロックに攻撃を封じられ、ストレート負け。成徳に勝つため、ブロックアウトや、ブロックを避けた先のレシーバーにはじかせる技術を磨き、リベンジに備えてきた。
 思いが最高の形で結実し、観客席で応援してくれた昨年の3年生にも恩返しができた。177センチの2年生エースは「もう一段階成長したい」ときっぱり。今度は2連覇へと目を向けた。

 下北沢成徳(東京)は昨年の全国高校総体、国体に続く高校3冠をあと一歩で逃した。就実(岡山)から1セットも奪えずにストレート負け。主将でリベロの内沢明未(3年)は涙をこらえ、声を振り絞った。
 「すごく悔しい。でも就実高校と最後の試合で戦えたことはうれしかったし、また頑張ろうと思えた。全力でやったし、一生懸命やってきたと思うので後悔はないです」
 サーブレシーブの乱れが響き、攻撃でもミスが多かった。第1、第2セットは点差をつけられ、最終セットも21-25で落とした。伊藤祟博監督は「今までの大会とは違った。あれだけ崩されると厳しい。いろんなズレがあった」と肩を落とした。
 今回のチームは2年生が主体だった。両親がミャンマー出身のエース、イェーモン・ミャ(2年)は「来年は挑戦者。目の前の一本一本を大切にしたい」とリベンジに向けて、最後は前を向いた。

・最優秀選手賞:福村心優美(就実)
・優秀選手賞:福村心優美(就実)、高橋凪(就実)、イエーモンミャ(下北沢成徳)、後藤ビビアン愛音(下北沢成徳)、上村日菜(誠英)、笠井李璃(旭川実)
・ベストリベロ賞:井上凜香(就実)