春高準々決勝の結果

就実 2-0 金蘭会
下北沢成徳 2-1 横浜隼人
誠英 2-0 富士見
旭川 2-1 東京都市大塩尻

 北海道女子代表の旭川実が昨夏の高校総体準優勝の都市大塩尻(長野)をフルセットの末に下し、全日本高校選手権では準優勝した第45回以来、31大会ぶりのベスト4進出を決めた。U-19女子日本代表でアウトサイドヒッターの笠井季璃(りり、3年)は29得点。7日の準決勝では、7大会ぶり5度目の優勝と高校総体、国体に続く3冠を狙う下北沢成徳(東京)と対戦する。
 第3セット24-19のマッチポイント。味方のブロックで勝負を決すると、笠井はコートにうずくまり、歓喜を表現した。5日の岐阜済美との2回戦で10年ぶりの春高勝利をもぎとったチームは勢いを増して、6日の3回戦、準々決勝にも立て続けに勝った。31大会ぶりの4強入りを決め、「ここまで来たら楽しんだ人が勝てる」とハツラツとした笑顔を見せた。
 大阪国際滝井・国際との3回戦で37得点を挙げた笠井は、準々決勝も開始からエンジン全開。サーブがことごとく決まるなど第1セットで10得点を決め、チームをリズムに乗せた。ただ、エースに頼りっきりのチームではなかった。
 笠井の動きが読まれ始める中、ミドルブロッカーの谷川星奈(2年)や熊谷苺花(1年)ら下級生が次々とサーブやスパイクを決めて脇を固めた。谷川は「笠井さんばかりに打たせると体の負担になる」と話せば、笠井に憧れて旭川実に入学したという熊谷は「笠井さんのマークが厳しくなるチームが苦しくなる。自分ももっとやらないと」と奮起した。
 第2セットは落とし、迎えた第3セット。先行しながら相手の再三の粘りに遭い、11-10まで詰められた。そこから笠井がスパイクなどで連続得点を決め、ピンチを脱した。ここぞの場面で大黒柱としての存在感を示し、準決勝行きの切符を勝ち取った。
 7日の準決勝で対戦する下北沢成徳は、高校総体と国体で優勝した女王だ。今大会で3冠目と7大会ぶりの頂点を狙っている。因縁のある相手であり、昨秋の国体の準決勝で旭川実が中心となった北海道は、単独チームで出場した東京代表の下北沢成徳と戦い、0-3の完敗を喫した。岡本祐子監督は「国体で負けているので、成徳さんにリベンジをしたい。相手はチャンピオンなので互角ではない。チャレンジャーの気持ちで」と話した。
 笠井も「大会が始まる前からずっと成徳と当たりたいと思っていた。相手のブロックはトップクラス。成徳の壁をぶち抜きたい」とただならぬ思いを抱く。目標は日本一。頂点に立つためにも女王に借りを返さねばならない。

 2年ぶり5度目の優勝を目指す女子の就実(岡山)が、金蘭会(大阪)との強豪対決でストレート勝ち。エースの福村心優美(2年)が勝利の余韻に浸った。
 「何枚もブロックがつくのはわかっていた。それでも打ち抜くのが就実のエースと監督から言われていた」
 序盤から4連続得点などで躍動した。ブロックが3人つく場面もあったが、終盤もボールが集まった。最後も福村のスパイクで勝負あり。セッターの河本菜々子(3年)は「練習がしんどいときでも打ち切ってくれる信頼があった。最後はエースに任せようと思った」と胸を張った。
 昨年大会は新型コロナウイルスの陽性反応者が出たため、チームは大会直前で欠場。3連覇を目指した先輩の思いも背負って戦っている。「絶対センターコートに立つことを目標にやってきた。思う存分にプレーしたい」。2年分の思いを込め、福村が翔ぶ。

 女子は高校総体、国体女王の下北沢成徳(東京)が3回戦で進徳女(広島)に2-0、準々決勝は横浜隼人(神奈川)を2-1で下し、準決勝に進出した。
 3冠を目指す女王、下北沢成徳が、まさかの苦戦を乗り越えて準決勝進出を決めた。横浜隼人に第1セットを奪われた準々決勝を逆転で制した。
 「逆によかった。弱い自分たちを見つめ直す機会ができた」。両親がミャンマー出身の2年生エース、イェーモン・ミャは前向きに熱戦を振り返った。
 24-20とセットポイントを奪った第1セット。しかし、スパイクミスなどで相手に4連続得点を許すと、ジュースに持ち込まれ、28-30で落としてしまった。
 前兆はあった。高校総体準決勝で勝った進徳女(広島)との、午前中の3回戦。山場とみていた試合の第2セット、24-16のマッチポイントと勝利が見えたところで3連続得点を許していた。
 「気の緩みが出た。(準々決勝は)その影響が残っていた」と伊藤崇博監督。2年生主体のチームを「やはり下級生。1本で流れが変わるバレーの怖さを認識していなかった」と説明する。
 昨年の高校総体、国体で優勝した今のチームが全国大会でセットを落としたのは3度目(4セット目)。第1セットを落としたのは金蘭会(大阪)に準決勝で敗れた3月の全国私学だけだ。あと1セット落とせば敗退の危機だったが、監督は「これで反省するだろう」と、あえて声をかけなかった。
 「自分のプレーで(嫌な)流れを払拭するという気持ちを持たないと、(いい)流れはこない」とはイェーモン。第2セット以降は気迫あふれるプレーで圧倒した。
 「目標は6冠(2年連続3冠)」というエースは「すべての試合が通過点。今日の試合が明日につながる」。7日の準決勝からは5セットマッチになる。「3セットを取り切るのは、もっと難しい。次からは、最初から最大限の力を出せるようにしたい」。この反省を3冠達成の糧にする。

 女子の金蘭会(大阪)は準々決勝で就実(岡山)との優勝候補対決でストレート負けした。
 V1・PFUに内定している上村杏菜(3年)は「悔しい結果で終わったけど、自分としてはやりきった」と気丈に振る舞った。身長168センチながら最高到達点301センチのエースはこの日も相手ブロックを何度も打ち破った。昨年6月に左脛骨を骨折。高校総体と国体は欠場を強いられたが、「それがあったからこそ頑張れた」と高校最後の舞台で復活をアピールした。