春高準決勝の結果

就実 3 25-18 25-20 25-18 0 誠英
下北沢成徳 3 25-18 25-14 26-24 0 旭川

 昨年の全国高校総体、国体との3冠を目指す下北沢成徳旭川実(北海道)を3-0、2年ぶりの優勝を狙う就実は誠英(山口)に3-0で快勝した。

 福村心優美がレフトから打ち抜けば、ライトからは押川優衣が決める。就実は2年生のダブルエースがともに20得点で、チームを2年ぶりの決勝へ導いた。2押川は鋭いスパイクで得点を重ね、「(センター)コートに入った瞬間、緊張よりもワクワクした。自分たちのバレーを見てもらうことが楽しかった」と目を輝かせた。
 前回大会は新型コロナウイルスの陽性反応者が出たため、岡山県大会を勝ち抜いたチームは試合直前で春高欠場が決まった。この日は昨年度の主将、岩本沙希(日体大1年)らがスタンドで声援を送っていた。
 2人は2006年6月生まれで、身長も同じ177センチ。ともに就実が25大会ぶりに日本一に輝いた2021年大会をテレビ観戦し、押川は香川県から、福村は埼玉県から進学。学校でクラスは別だが、コートの上では力を認め合うライバル。初のセンターコートで躍動した押川は「この春高で自分の力を出して、レフトだけでなくライトの自分もいるというのを全国に知ってもらいたい」と闘志を燃やす。
 東九州龍谷(1回戦)、金蘭会(準々決勝)に続き、同じ中国地方の強豪、誠英も撃破し、就実のエースナンバー「4」を背負う福村は「1本止められても次は決めてやるというか、どんどん持ってこいという気持ち」と自信を深めた。2年ぶりの頂点へ、「明日は自分の見せ場。自分の信じた方向に腕を振り抜きたい」と力を込めた。コートに立てなかった先輩たちの思いも背負い、就実のダブルエースが大一番に臨む。

 3冠を狙う下北沢成徳(東京)は旭川実(北海道)にストレート勝ち。数字だけ見れば楽勝に思えるが、選手の中には苦戦に涙ぐむ者もいた。旭川実のエース、笠井季璃(りり、3年)の気迫に「気おされていましたね」。伊藤崇博監督が認めた。
 旭川実対策はU19(19歳以下)世界選手権で日本代表の主将を務めた笠井を止めること。第2セットまでは成徳の高いブロックを意識した笠井をミスに追い込むなど、作戦は奏功したが、第3セットでは、ブロックにかまわず何本も強打をたたき込む笠井に押される場面もあった。
 184センチのセンター中田藍美(2年)は「3年生の季璃さんの意地を感じて圧倒された」。打ち合ったエースのイェーモン・ミャ(同)は「まだ(自分は)拮抗(きっこう)した場面で最大限の力を発揮できていない」と勝利にも反省の弁だった。
 2年生主体のチームは試合ごとに成長中。前日の3回戦(対横浜隼人)でセットを落としたことで甘さを排除する心構えができており、この日の苦戦には「あれが生きた」と伊藤監督はいう。笠井が示した気迫も成長の糧とできるか。「あの姿を見て感化されてほしいですね」。監督は期待した。

 旭川実は3冠を狙う下北沢成徳(東京)にストレート負け。第3セットはジュースに持ち込んだが、最後は力尽きた。主将でエースの笠井季璃(りり、3年)は目を潤ませながら「詰めが甘くて負けてしまったのは反省しているが、ここまで来られたのは仲間たちのおかげ」と感謝の言葉を口にした。U19(19歳以下)日本代表の主将は卒業後にV1・トヨタ車体でプレーする。「自分の目標は全日本に入って、オリンピックで金メダルを取ること。もう1回、鍛え直して新しい自分を作り上げたい」と次のステージを見据えた。