春高決勝の結果

下北沢成徳 3(25-21 33-31 25-23)0 誠英

下北沢成徳は10大会ぶり2度目の優勝。

 全日本高校選手権・女子決勝(13日、下北沢成徳3-0誠英所沢市民体育館)パワフル・カナ先輩に続いた! 女子決勝で下北沢成徳(東京第1)が誠英(山口)を3-0のストレートで破り、元全日本女子代表大山加奈さん(28)を擁した2002年度大会以来、10大会ぶり2度目の優勝を飾った。最優秀選手賞に輝いた「どすこい」こと小笹奈津子主将(3年)を中心に、粘りのバレーで頂点に立った。
 その強さは“横綱級”だった。第3セットのマッチポイント、土屋恵子(3年)が強烈なスパイクをたたき込んだ。10大会ぶりの優勝。下北沢成徳のメンバー14人がコート上で飛び跳ねた。号泣しながら校歌を高らかに歌う。苦楽をともにした小川良樹監督(56)を宙に3度、ほうり投げた。
 「日本一を目指してここまできた。本当にうれしい。苦しいトレーニングをしてよかった」
 ベスト4で散った傷心の1年前とは一転、高校最後の大会で女王に“昇進”した小笹主将が豪快に泣き、笑った。一進一退を繰り返した第2セット。「サーブとスパイクでぶっ飛ばしてやろう」という気持ちで臨み、33-31で奪取。チーム最多タイとなる17得点の大活躍だった。
 強い精神力は“149連敗”で培った。昨年大会後に新チームを結成すると、卒業を控えた大竹里歩(19)=デンソー=ら3年生を相手に約2カ月で計150セットマッチを敢行。センターコートを踏んだ先輩たちにまったく歯が立たず、チームの雰囲気が悪くなる中、最後の1セットをなんとか取った。“奇跡”と思った指揮官に追試の151セット目を命じられたが、それも奪う意地をみせた。
 肉体面は緑豊かな信州で鍛えた。月に1度のペースで、標高1000メートルを超える長野・富士見高原で強化合宿を張った。最短50メートル、最長800メートルのインターバル走で、心肺機能を強化。欲張りなキャプテンは、これだけでは満足できない。昨秋の国体前には標高3067メートルの御嶽山のふもとに位置する王滝村に足を運び、高さ30メートルの清滝に打たれる“荒行”に挑戦。「めちゃくちゃ痛かった」というが、その先に栄冠が待っていた。
 「この1年間、『心が弱い』『根性がない』と言われ続けた。成長できたと思う」
 小笹は卒業後、チャレンジリーグの上尾に入団する。スパイク力は誰もが一目置く。“負け犬”から“勝ち組”に成り上がった下北沢成徳が、無限の可能性を示した。

・最優秀選手賞…小笹奈津子(下北沢成徳
・優秀選手賞…小笹奈津子、辺野喜未来(下北沢成徳)、吉田真那美、近藤美咲(誠英)、古賀紗理那(熊本信愛女学院)、大沢祐美(柏井)
・ベストリベロ賞…鈴木恵(下北沢成徳